我が故郷の栃木県で発生した面白い裁判が大正14年にありました。
村の入り口や集会所などに「3月1日以降はタヌキを捕まえてはならぬ」とのお達しが書かれた看板が立てられていました。村人たちは「タヌキ」はどんな動物だ?俺は知らないね?うんだわしも知らねえな。と口々に言い合っていました。
山里の奥深い集落に住む権平さんは愛犬のタローを連れていつものようにムジナが住む穴に向かいました。ムジナは穴の中にいくつもの逃げ口を掘って敵の襲来を防いでいました。
権平さんはいくつもの穴を土で塞ぎ風下の一つを開けて風上で火を起こし大量の煙を穴に吹き込みました。ムジナは「これはたまらん」と風下に逃げました。
風下で待っていた権平さんは出てきたムジナを難なく村田銃でドーンと撃ち捕まえてしまいました。村の駐在所のお巡りさんがこれを聞き権平さんをタヌキ捕獲の罪で逮捕し街の留置場に連れて行きました。
権平さんは「俺が捕まえたのはムジナだ」「タヌキなど捕まえていねー」と主張しましたが町の警察署の留置場に繋がれてしまいました。権平さんは主張が聞き入れられずに留置場で毎日「タヌキ寝入り」を繰り返しました。
(つづく)
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