2008年9月5日金曜日

トリカブト(鳥兜)と石器時代


高原の日当たりのよい草原などで美しい花を咲かせる花である。根はもとより葉、花も毒を持つ猛毒な植物としても有名である。養蜂家はこの花が咲いているところでは蜂蜜を採取することをしないといわれているので花粉も毒を含んでいるようです。「八ヶ岳のトリカブト」として過去に殺人事件に登場したこともあります。

多くのトリカブトが自生している八ヶ岳山麓は石器時代に盛んにこの植物の毒を矢じりに塗り弓矢で狩りをしていました。山麓では多くの矢じりや土器類が発掘されます。私も丘の公園や清里の森が建設されるときに発掘調査に参加し土器や矢じりを掘り出しました。

蓼科高原に山全体が黒曜石でできている冷山(つべったやま)がありこの山から東日本一帯に矢じりが供給されていたと伝えられています。北八ヶ岳の登山道を注意して歩いていると黒曜石の矢じりをいくつも拾うことが可能です。石器時代に多くの人々が八ヶ岳山麓で狩りをしながら暮らしていたことを思うと不思議な気持になります。

石器時代に動物たちを弓矢だけで捕獲し食料にしていたということは当時の人たちの弓の技術が優れていた証拠でしょうか?それとも毒矢が優れていたのでしょうか?いいえ。人間の数より動物たちの数が圧倒的に多かったために動物たちは人間が近づいても恐怖心がなく逃げなかったためです。

鉄砲が伝来するまでの日本では動物と人間の関係は似たようなものだったと考えられます。人間の数が増え科学技術が発達し人間と動物たちの関係が逆転し地球上の人間以外の生き物が減り続けています。このままでもよいのでしょうか?

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