2008年11月6日木曜日
初冬の早川尾根を行く(単独行)
市営芦安駐車場を6時発の一番バスで広河原に向かう。近頃珍しくなったバスガイドさんが乗っていた。沿線の名所や景観を説明してくれるのかと期待していましたが切符の精算などの業務だけで説明はテープでした。
「早川尾根を日帰りで縦走します」と私。「積雪があるので滑落しますからやめたほうが良いですよ」とガイドさん。「ご忠告ありがとうございます。最終バスに乗っていなかったら救助をお願いいたします?」と冗談を言う私。
乗客は仙水峠に行くご夫婦、仙丈ガ岳に行く単独行者と私の4名で広河原にて乗り換え北沢峠に向かう。仙水峠入口で3名は下車。「お先に気を付けて」と私はご夫婦に別れを告げて先を急ぐ。
川面は薄氷がキラキラと輝き初冬の厳しさが感じられる。仙水峠まではスイスイと歩を進める。上空は雲ひとつない快晴だ。冷たい風が強く吹く中をツグミのひと群れが「ツーツー」と鳴きながら南に飛んで行く。
ここから栗沢山の急登が始まる。日蔭や樹林帯には白く積雪が残る。サクサクと快調に歩を進め高度を上げる。森林限界線を越えたところで冷たい風で体を冷やすといけないのでフリースを着て手袋を付ける。ごつごつとした岩を乗り越えながらやがて2714mの栗沢山の山頂に到着。
大きな岩の上をリズム良くぴょんぴょんと飛び越えながら本日の最高峰のアサヨ峰(2799m)に到着。眼前には甲斐駒ケ岳が魔利支天をを従え花崗岩の白い岩肌を輝かせて聳え立っている。右に目を移せば八ヶ岳の主峰赤岳を従え大きな山塊が見える。左にはどっしりと大きな手足を伸ばした仙丈ガ岳の雄姿。その左はバットレスの岩肌に雪化粧した北岳。遠くに鳳凰三山と対比するかのように富士山が逆光にシュルエットとなり美しく輝く。
柿をお腹に入れながら暫しの休憩。シャッターの音だけが静寂な山頂に聞こえる。私以外誰一人として存在しない快晴の初冬の山の快感を味わう。
ミヨシの頭、早川尾根の頭、広河原峠、赤薙沢ノ頭、白鳳峠といくつかの山と峠を越えながら縦走を楽しむ。シラビソ、コメツガの森の中は私が歩む音以外何も聞こえない。
この時期のツキノワグマは冬眠に備えて丸々と肥りメタボな体ゆえ私の存在に気付いても逃げるのが遅くなり私に追いつかれたりしたら困るので「熊さんよ君たちと取っ組み合いの喧嘩をするつもりはないから早く逃げろよ」。樹洞があるような大きなダケカンバの近くを通過するときは「目を覚まさずにそのまま冬眠してろよ」。などと私は呟きながら静かな森を行く。
先日に白旗史朗さんから贈呈いただいた「甲斐山歌」を読みながら私が住む清里から見える主要な山々で私が登っていない山はこの早川尾根と鋸岳なので急に思い立ち計画した。
このコースの標準時間は約10時間30分である。一番バスに乗り縦走して広河原に到着すると最終バス時刻17時15分に30分程オーバーしてしまう。
私の足なら1時間ぐらいは標準時間を短縮できるだろうなどと考えて計画した。
広河原に13時40分に到着。腹が空いたので残っていた柿やあんパンなどを食べる。14時の甲府行きのバスに乗り込んだら朝乗ったバスのガイドさんが担当でした。「無事に帰ってきました」と私。「御苦労さま」とガイドさん。
全山貸し切りの初冬の山々を心行くまで楽しんだ一日でした。山々とガイドさんにありがとう。
写真は白鳳峠、甲斐駒ケ岳、アサヨ峰から仙丈ガ岳です。
山行タイム
市営芦安駐車場(6:00)~広河原(7:01 7:10)~仙水峠入口(7:40)~仙水峠(8:25)~栗沢山(9:15)~アサヨ峰(9:50)~早川尾根小屋(11:10 昼食)~広河原峠(11:35)~赤薙沢ノ頭(12:10)~白鳳峠(12:20)~広河原(13:40 14:00)~市営芦安駐車場(15:00)
(注)標準時間よりかなり早いのでご注意ください
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿